あらすじ(BookLive引用)
勇者と五人の仲間達によって、魔王は斃された。
後は王都に還り、報奨金を受け取って英雄と讃えられるだけ。しかし――
「馬鹿な。どちらも吐き気がする」
仲間の一人・弓手のジャレッドは、それを拒否しパーティから離脱する。そこで初めて勇者ユーマは、命懸けで冒険をしてきた――僧侶グレアム、魔術師ラウニ、聖騎士レオナ、斥候兵ボニータの事も何も知らなかった事に気付き……。
王都までの帰り道で、お互いの身の上話をする事になるのだが、仲間達から次々と衝撃の真実が明かされ――。
『英雄』の喪失と再生を描くエンディングファンタジー。
感想
葬送のフリーレンのような、勇者とその仲間が魔王を倒した後の話。ただ、その後あれこれする話ではなく、勇者がよくよく考えたら一緒に戦った仲間たちのことよくわからないので、それを知ろうって感じのちょっとしたヒューマンドラマ?みたいな話。
人(仲間)を知ろうとするところはフリーレント似ているが、それで主人公がどうとかはあまりない。凱旋の帰る間に勇者がそれぞれの仲間たちの帰る場所的なところに寄り、仲間の思っていたことを見て聞いていく。
勇者が一応主人公っぽいけど全体的にそこまで目立たず、どちらかというと各章のキャラ達の思いなどを中心に描かれている。勇者は聞き手で見届けるって感じだった。
仲間たちの話はつよつよでエリートみたいな人たちだが、僧侶なのに恋のことなど実に人間らしい思いなどをもっていて割と感情移入できた気がする。特に個人的にはその僧侶の話(1章)が最初から最後まできれいにまとまってた話だったと思う。
魔王討伐に加わった理由も見た目と性格からは考えられないようなもので、人間だなーって感じで良かった。その後もしっかりと自分との思いに決着をつけられて、短い話の中できれいにまとまってたと思う。
僧侶のように良い感じに終わる話もあればちょっとした鬱展開もあったが、魔王と魔族の関係を上手く混ぜられたような展開だったの面白かった。
あとがきには詳細な世界観は書いてないとあったが、逆に簡単かつ話に混ぜてあったのでどのような世界観なのか想像しやすかった。
個人的には序章、3章、4章のキャラの今後が気になる(特に3章)が、そこは想像にお任せしますてきな感じかな。まあ、最後とか割とあっさりというか実は~的な展開だったけど、それぞれそれらしい終わり方だったと思う。
しいていうなら4章のキャラとは割といちゃいちゃしてた気がするしくっついてほしかった(笑)。そもそもそういう話じゃないけど(笑)。
話としては1巻完結型でさらっと読めながら、内容も満足できるぐらいしっかり書かれており短編として楽しく読めた!
著:榊一郎
イラスト:芝
レーベル:富士見ファンタジア文庫